この記事でわかること
「まさかここまで大変になるとは思わなかった」
11年間、ひとりで母親の介護を続けてきた60代の息子が、ある日ケアマネジャーに電話でこう打ち明けました。
「ショートステイを断ったことを、ものすごく後悔しています。もう自宅で見るのが、しんどいんです」
この記事では、実際に起きた在宅介護の事例をもとに(個人情報は完全に匿名化しています)、
- 一人暮らし・高齢の親をどう支えるか
- ショートステイやデイサービスをどう組み合わせるか
- 限界を感じたとき、誰に・どう相談すればいいか
について、わかりやすくお伝えします。「自分の家族も同じかもしれない」と感じた方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
事例紹介|吉田 フミコさん(94歳)のケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用者 | 吉田 フミコさん(仮名・94歳・女性) |
| 居住形態 | 一人暮らし(近畿地方在住) |
| 主な介護者 | 長男・吉田浩二さん(仮名・60代) |
| 介護歴 | 約11年 |
| 要介護状態 | 認知症の進行あり、身体的には比較的自立 |
| 主なサービス | ショートステイ、デイサービス |
吉田 フミコさんは94歳の高齢女性。長男の浩二さんがほぼ毎日面会しながら、在宅での生活を支えてきました。ところが、年齢とともに認知症の症状が少しずつ進行し、介護の負担は少しずつ、しかし確実に重くなっていきました。
どんな悩みを抱えていたか|「まだ大丈夫」が続いた11年間
悩み①:発熱・体調不安が繰り返される日々
フミコさんは高齢のため、ちょっとした体調変化も見逃せません。数日にわたる発熱があり、浩二さんは「このまま救急を呼ぶべきか」と何度も不安な夜を過ごしました。
「熱が下がっても、ぐったりしている母を見ていると、胸が痛くて……。でも、どこに相談すればいいのかもわからなくて」
悩み②:ショートステイの日数問題という"見えない壁"
在宅介護の助けとして利用していたショートステイですが、介護保険には「認定期間の半分を超えては使えない」という日数の上限ルールがあります。長年にわたって週3〜4泊のショートステイを利用してきた結果、気づかぬうちに日数の上限に近づいていました。
「制限があるなんて知らなかった。もっと早く教えてもらえていれば……」(浩二さんの言葉)
これは、多くの介護家族が知らないまま直面する「制度の落とし穴」のひとつです。
悩み③:デイサービスの変更を余儀なくされた戸惑い
フミコさんが通っていたデイサービスでは、認知症の進行に伴い、施設内を動き回ったり、大きな声で他の利用者に話しかけたりする場面が増えてきました。スタッフから「認知症専門のデイサービスへの移行をご検討ください」と提案を受けた浩二さんは、複雑な気持ちを抱えました。
「母が"普通のデイ"では難しくなった、ということなのか……と、正直ショックでした」
悩み④:「ロングショートステイ」を断った後悔
ある日、ケアマネジャーから「長期のショートステイ(ロングショートステイ)の空きが出た」という連絡が入りました。当時の浩二さんは「まだ大丈夫。しばらく様子を見たい」と断りました。
しかしその数週間後、浩二さん自身が心身の疲労でギリギリの状態になり、ケアマネジャーに電話で告白します。
「あのとき断ったことを、ものすごく後悔しています。もう……しんどいです」
ケアマネジャーと一緒に解決した方法
まず「現状を正直に話すこと」から始まった
浩二さんが電話でSOSを出したことで、ケアマネジャーは即座に動き始めました。
- ショートステイ事業所に連絡し、日程と泊数の見直しを調整
- デイサービスを認知症対応専門のプログラムに変更する手続きをサポート
- 今後の居住場所として、サービス付き高齢者向け住宅や特定施設の情報を提供
「ケアマネさんがいてくれなかったら、僕ひとりでは何も動けなかったと思います」(浩二さん)
ショートステイ・デイサービスの組み合わせを再設計
ケアマネジャーと浩二さんが話し合い、新しいサービス体制を組み立てました。
| 曜日 | 内容 |
|---|---|
| 日〜火曜 | ショートステイ(2泊3日) |
| 水曜 | デイサービス(認知症専門) |
| 木曜 | 自宅(休養日) |
| 金曜 | デイサービス |
| 土曜 | 家族とゆっくり過ごす |
この組み合わせにより、浩二さんにはまとまった休養時間が生まれ、フミコさんも専門的なケアを受ける機会が増えました。
将来の住まいについても一緒に考える
「このまま在宅を続けるのか、施設への移行を考えるのか」
ケアマネジャーはこの問いから逃げずに、複数の選択肢(ケアハウス・特定施設型サービス付き高齢者向け住宅など)をリストアップし、浩二さんが自分で決められるよう情報提供を続けました。
「正解を押しつけるのではなく、一緒に考えてくれる人がいる、というだけで気持ちが楽になりました」
この事例から学べる3つのポイント
ポイント① ショートステイには「日数の上限」がある
介護保険では、ショートステイの利用日数は認定期間の半分までというルールがあります(やむを得ない事情がある場合を除く)。長期にわたって利用している場合は、早めにケアマネジャーに確認することが大切です。知らずに上限を超えてしまうと、急に利用できなくなるリスクがあります。
チェックポイント:「今、ショートステイを何泊使っているか把握していますか?」
ポイント② 「まだ大丈夫」は危険信号のことがある
介護する家族は、ギリギリまで「自分が何とかしなければ」と思い込みがちです。しかし、限界が来てからでは選択肢が狭まることも。「しんどいな」と感じたら、それが相談のサインです。早めに動くほど、選べる手段は多くなります。
ポイント③ ケアマネジャーは「介護の総合窓口」
デイサービスの変更、ショートステイの調整、施設情報の提供、主治医との連携——これらすべてをコーディネートするのがケアマネジャーの役割です。「こんなことを相談していいのかな」と思うような小さなことでも、まず話してみることが第一歩です。
あなたの家族も同じ悩みを抱えていませんか?
- 親がひとり暮らしで、何かあったときが心配
- ショートステイを使っているけど、このままで大丈夫?
- デイサービスを嫌がるようになってきた
- 自分が倒れる前に、誰かに相談したい
介護は、知識があるほど楽になります。そして、ひとりで抱え込まないほど、うまくいきます。吉田浩二さんが「相談してよかった」と言えたように、あなたにも、そう感じてほしいと思います。
まとめ|まず相談することが第一歩
今回ご紹介した吉田 フミコさんの事例をまとめると、次のようになります。
| 課題 | 解決のきっかけ |
|---|---|
| 体調不安・繰り返す発熱 | ケアマネジャーによる関係機関との連携 |
| ショートステイの日数上限 | 早期の利用計画の見直し |
| デイサービスの不適合 | 認知症専門デイへの移行 |
| 介護者の燃え尽き寸前 | 正直なSOSと、柔軟なサービス再設計 |
介護に「完璧な正解」はありません。でも、「一緒に考えてくれる人」がいるかどうかで、その大変さはまったく変わります。
こんな相談、ひとりで抱え込まないでください
私たちの居宅介護支援事業所では、在宅介護に関するご相談を無料でお受けしています。
- 「今のサービスが合っているか見直したい」
- 「ショートステイの日数がどれくらい残っているか確認したい」
- 「そろそろ施設のことも視野に入れて考えたい」
どんな些細なことでも、まずはお気軽にご連絡ください。はじめての方でも、ご家族だけでのご相談でも、もちろん大丈夫です。
まずは無料で相談するこの記事に登場する事例は、実際の支援経過をもとに、個人を特定できないよう氏名・地名・施設名・年齢など、すべての個人情報を架空のものに置き換えています。特定の個人・施設とは一切関係ありません。





