この記事でわかること

「施設に入ったから安心」と思っていたのに、転倒の報告が来た。薬のことで揉めている。目の具合が悪そう。膝に力が入らなくなってきた——。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に親を入居させた後も、子ども世代の心配は尽きません。むしろ「遠くなった分、何かあったときに動けない」という不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、サ高住に入居中の高齢の母親を持つ娘さんが、ケアマネジャーと二人三脚で次々と課題を解決していった実際の事例をご紹介します。

  • ケアマネジャーに何を相談できるのか
  • 離れて暮らす家族の不安をどう解消するか
  • 専門家のサポートで暮らしがどう変わるか

同じような状況の方に、きっと「うちの話みたいだ」と感じていただけると思います。

事例紹介|須田 澄子さん(89歳・近畿地方在住)のケース

基本情報(すべて架空の情報です)

項目内容
名前須田 澄子さん(仮名)
年齢89歳
要介護度要介護4
居住環境サービス付き高齢者向け住宅(近畿地方)
同居状況長男と同居歴あり、現在は施設入居中。近隣に長女が在住し、主な連絡窓口を担当
認知症自立度Ⅱb(日常生活に一部支障)
障がい自立度A2(屋外での移動は一部介助が必要)
利用サービス訪問介護・訪問看護・居宅介護支援(ケアマネジャー)

澄子さんは長年、自宅で暮らしてきましたが、加齢に伴い日常生活での介助が必要になり、サービス付き高齢者向け住宅へ移ることになりました。近くに住む長女の由美子さん(仮名・60代)が家族の連絡窓口として、ケアマネジャーと密に連絡を取りながら母親のケアを支えています。

どんな悩みを抱えていたか|「入居後も不安は消えなかった」

転倒の報告に、心臓が止まりそうになった

入居から数ヶ月が経ったある朝、施設スタッフから「ベッドとポータブルトイレの間で転倒されているのを発見しました」と連絡が入りました。頭にこぶができていたものの、バイタルは安定していて看護師の判断では様子観察となりましたが、由美子さんは「もし夜中だったら」「もし誰も気づかなかったら」と不安で頭がいっぱいになったといいます。

「施設に入ればひとまず安全、と思っていたのに。自分が近くにいないもどかしさが、あの瞬間に一気に押し寄せてきました」

薬が多すぎて、母が文句を言っている

訪問看護師から連絡が入ったのは、薬のことでした。「漢方が嫌い」「薬が多すぎる」と澄子さんが繰り返し言っていたのです。訪問ヘルパーからも「お薬が多いとおっしゃってますよ」と声がかかっていたこともあり、澄子さんの不満は積もっていました。担当看護師が「なぜ必要か」を丁寧に説明してくれましたが、なかなか納得してもらえない場面もあったようです。

眼科受診の情報がスタッフ間で共有されていなかった

主治医から眼科の訪問診療を勧められたため、由美子さんは自分で動いて眼科を調べ、通院の段取りをつけました。受診日を施設の責任者に直接伝えていたつもりでしたが、当日になってみると担当ヘルパーには何も伝わっていなかったのです。

澄子さんは「今日どこに行くの?ヘルパーさん来ちゃったらどうするの?」と必要以上に不安になり、そのたびに由美子さんが振り回される形に。「情報が施設のスタッフ全員に行き渡っていないと、こんなにも混乱するとは思いませんでした」

膝に力が入らなくなってきた

モニタリング訪問でケアマネジャーが確認したところ、この1〜2ヶ月の間に両膝に力が入りにくく、膝折れするような症状が新たに出てきたことがわかりました。転倒こそしていませんでしたが、転倒リスクが高まっている状況でした。体重は少しずつ戻ってきていましたが、お腹の張りを気にして水分を控えているとのことで、脱水への不安もありました。

ケアマネジャーと一緒に解決した方法

毎月の訪問で「見えない変化」を見逃さない

担当ケアマネジャーの山本さん(仮名)は、毎月欠かさずモニタリング訪問を行い、澄子さんの体調や生活の変化を丁寧に記録してきました。膝折れの症状を把握したときも、「今すぐ大きな問題ではないが、転倒につながりやすいので注意が必要」と判断し、訪問介護スタッフや訪問看護師にも情報を共有。関わる全員が同じ認識を持てるよう調整するのもケアマネジャーの大切な役割です。

本人の意向を「確認する」ことで混乱を防いだ

足浴サービスの提案があったとき、山本さんは真っ先に澄子さん本人に電話で意向を確認しました。「足浴はいりません」という澄子さんの返事を施設スタッフに正確に伝えることで、「希望していないサービスが組まれていた」という行き違いを未然に防ぎました。

本人の意思を中心に置くこと——これが、ケアマネジャーの仕事の根本にあります。

家族への情報共有を丁寧に続けた

眼科受診の際に施設内の情報共有がうまくいっていなかった件については、由美子さんが気づいた問題点をケアマネジャーに伝えることで、今後の連絡フローを整理するきっかけになりました。山本さんは家族からの連絡も記録し、どんな小さな変化も見落とさないようにしています。遠方に住む家族が「いざとなれば相談できる人がいる」と安心できるのは、こうした日々の積み重ねがあるからです。

担当者会議で全員の方向性をそろえた

サービス内容を見直すタイミングでは、担当者会議を開いて訪問介護・訪問看護・施設スタッフ・家族が一同に集まりました。それぞれの立場から情報を出し合い、ケアプランを更新。誰かが独断で動くのではなく、チームで澄子さんを支える体制を作り直す機会になりました。

この事例から学べる3つのポイント

① サ高住に入居しても、ケアマネジャーのサポートは欠かせない

「施設に任せておけば大丈夫」と思われがちですが、サービス付き高齢者向け住宅は日常的な医療行為や多職種連携は自分たちで整える必要があります。ケアマネジャーは、その調整役として欠かせない存在です。

② 「変化」に気づいてもらえる関係性をつくることが大切

膝折れのような小さな身体の変化も、定期訪問で状態を把握しているケアマネジャーがいてこそ発見できます。「先月は普通だった」という比較ができるのは、継続して関わっている専門家だけです。

③ 家族の「気になること」は、どんな小さなことでも相談していい

眼科のこと、薬のこと、スタッフ間の連携のこと——由美子さんが抱えていた「なんとなく気になる」という感覚は、すべてケアマネジャーへの相談につながりました。遠慮せず話せる関係が、結果的に澄子さんの生活の質を守ることになったのです。

あなたの家族も同じ悩みを抱えていませんか?

  • 「施設には入ったけど、本当に大丈夫かどうかわからない」
  • 「何かあったとき、誰に連絡すればいいかわからない」
  • 「ケアマネジャーって、何をどこまでお願いしていいの?」
  • 「親の様子を聞いても、施設のスタッフにどこまで話していいかわからない」

こうした不安は、介護をしている家族にとってとても自然な感情です。「まだ大丈夫」「こんなことで相談してもいいのか」と思って抱え込む必要はありません。ケアマネジャーは、医療・介護・生活のすべての面で、ご本人と家族の「困った」に一緒に向き合う専門家です。

「うちの親、こんな状況なんですが、どうすればいいですか?」——その一言から始まる相談が、生活を大きく変えることがあります。

まとめ|まず相談することが第一歩

今回ご紹介した須田 澄子さんの事例では、転倒・服薬トラブル・情報共有の失敗・身体機能の低下など、さまざまな課題が次々と起こりました。それでも、担当ケアマネジャーが毎月きちんと訪問し、本人・家族・各サービス事業者をつなぐ役割を果たしたことで、澄子さんは現在も自分らしい生活を続けられています。

居宅介護支援のご相談は、やさしい手にお任せください

「うちの親の状況、誰に相談すればいい?」とお悩みの方に、やさしい手の居宅介護支援事業所ではケアマネジャーが丁寧にご相談をお受けしています。

  • ✓ 現在のサービスへの不安や疑問
  • ✓ 新たにサービスを始めたい
  • ✓ 親の変化に気づいたが、どう対応すればよいかわからない

小さなことでも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。あなたとご家族の「安心」を、一緒に考えます。

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本記事は、実際の介護現場の経験をもとに、個人情報を完全に匿名化・架空化して作成したコラムです。特定の個人・施設とは関係ありません。