この記事でわかること

「父がだんだん弱ってきているけど、どこに相談すればいいのかわからない」
「施設に入っているのに、体調が悪化していると聞いて不安で仕方ない」

そんな思いを抱えている方は、決して少なくありません。

親の介護は、ある日突然「本格的な局面」を迎えます。食事が摂れなくなった、歩けなくなってきた、病気が進行しているかもしれない――そのとき、家族はどう動けばよいのでしょうか。

この記事では、80代の父親の介護に直面した家族が、ケアマネジャーと連携しながら最後まで寄り添い続けた実際の事例をご紹介します。同じような状況にある方にとって、少しでも「次の一歩」を踏み出すヒントになれば幸いです。

事例紹介|野田 俊之さん(80代・近畿在住)のケース

基本情報(すべて架空の情報です)

項目内容
氏名野田 俊之さん(仮名)
年齢80代前半
居住形態サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に単身入居
要介護度要介護2→区分変更申請(要介護5へ)
主な病気がん(全身転移の可能性あり)、腰痛
家族構成長男夫婦、奥様
担当ケアマネジャー居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー(担当変更を経て継続支援)

野田さんは長年、自分のことは自分でできると言い張るほど気丈な方でした。サ高住への入居も「施設には入りたくない」と渋りながらも、家族の説得でようやく決断。入居後は訪問介護と訪問看護を利用しながら、ケアマネジャーのサポートのもと、比較的安定した日々を送っていました。

ところが、ある時期から状況は大きく変わり始めます。

どんな悩みを抱えていたか|食事が摂れない、体が弱っていく…家族の不安

「急に食べられなくなった」という衝撃

長男のお嫁さん(仮名:野田 恵さん)が異変に気づいたのは、ある月の半ばを過ぎたころのことでした。

「先週まで全部食べていたのに、急に1〜2割しか食べられなくなったと施設から連絡が来て。しかもがんの数値も上がっているって聞かされて、頭が真っ白になりました」

施設のスタッフから報告を受けた恵さんは、毎日のように面会に通いながら、栄養補助食品を買い集め、父の口元に差し出し続けました。しかし食欲は戻らず、体重も落ち、よろけて倒れそうになる場面も出てきました。

「どこに、何を相談すればいいかわからない」

恵さんが最も困ったのは、「相談先がわからない」という孤独感でした。

  • 施設のスタッフに聞いても、「様子を見ましょう」で終わることが多い
  • 主治医は月1〜2回しか来ない
  • 家族だけで判断しなければならない場面が増えてくる

「夫は仕事があるし、義母(野田さんの奥様)も高齢で判断が難しい。私一人で抱え込んでいるような感覚でした」と恵さんは振り返ります。

腰の痛みも強くなり、転倒リスクも高まる中、「このまま何もできないのか」という焦りと不安が積み重なっていきました。

ケアマネジャーと一緒に解決した方法|「一人で抱え込まないで」という言葉が支えに

施設・訪問看護・主治医との情報共有を密にした

野田さんのケアマネジャー(仮名:山本さん)は、食事摂取の低下や転倒リスクの報告を受けると、すぐに動き始めました。

施設スタッフ・看護師・医師それぞれからの報告を集約し、家族への説明をわかりやすくまとめました。「いつ、誰が、何をするか」が家族にも明確になったことで、恵さんの孤立感は大きく和らいだといいます。

医師との面談(インフォームドコンセント)の場を設けた

主治医との意思確認の場を設定し、父の病状・余命・今後の治療方針について、家族が医師から直接話を聞ける機会をつくりました。

「先生から直接聞くことで、覚悟ができた気がします」と恵さんは言います。

また、転倒リスクに対応するため、トイレ周辺に手すりを設置。まず1週間の無料レンタルで試してみるという柔軟な対応も、家族の安心につながりました。

看取りの方針について、家族の意向を丁寧に確認した

救急搬送をしない、施設で最期を迎えるという家族の意向を整理し、施設・医師・看護師と共有。「何かあってもどう対応するか」があらかじめ決まっていたことで、いざというときに慌てずに済みました。

また、介護量が増えたことを受け、要介護区分の変更申請を行い、利用できるサービスの幅を広げました。

野田さんは結果的に、長男夫婦と奥様に見守られながら、住み慣れたサ高住で穏やかに最期を迎えました。

「痛みを和らげる薬を使いながら、最後の日まで意思表示ができていました。施設で看取ることができて、家族みんな悔いはないと思っています。山本さんがいてくれなければ、ここまでできなかった」と恵さんは話してくれました。

この事例から学べる3つのポイント

ポイント1:「状態の変化」に気づいたら、すぐにケアマネジャーに連絡する

食事量の低下・体重減少・転倒の増加――これらは「自然な老化」として見過ごされがちですが、介護の現場では重要なサインです。気になったことは、小さなことでも早めにケアマネジャーへ伝えましょう。

ポイント2:医師・施設・家族をつなぐのがケアマネジャーの役割

「誰に何を聞けばいいかわからない」という状況は、情報が分散していることが原因です。ケアマネジャーは医療・介護・家族の橋渡し役として、家族が「ひとりで抱え込まずに済む」状態をつくる専門職です。

ポイント3:「看取り」についても、元気なうちから話し合っておく

今回の事例では、事前に家族の意向(施設での看取り・救急搬送しない)が確認されていたことが、最期の局面で大きく役立ちました。「まだ元気だから」という時期こそ、本人・家族で「どう最期を迎えたいか」を話し合っておくことが重要です。ケアマネジャーはその相談にも乗ることができます。

あなたの家族も同じ悩みを抱えていませんか?

  • 「うちの親も、最近食欲がなくて…」
  • 「施設から電話が来るたびにドキドキしてしまう」
  • 「兄弟に頼れないし、仕事もあるし、どうすればいいのか」

こんな思いを抱えている方は、ぜひ一度、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談してみてください。

ケアマネジャーへの相談は、「もっと早く悪化してから」でなくても大丈夫です。むしろ「なんとなく不安」という段階から相談することで、いざというときに慌てずに済む準備ができます。

費用の心配も不要です。ケアマネジャーへの相談・ケアプラン作成は、介護保険の範囲内で利用できるため、家族の金銭的な負担はありません。

まとめ|まず相談することが第一歩

今回の野田さんのご家族のように、親の体調変化に直面したとき、ケアマネジャーがいることで「一人で抱え込まずに済む」大きな安心感が生まれます。

  • 食事や歩行の変化など「小さなサイン」を見逃さず、早めに相談する
  • ケアマネジャーは医療・介護・家族をつなぐコーディネーター
  • 看取りの意向など、大切なことも一緒に整理してもらえる
  • ケアプラン作成・相談は介護保険内で利用可能(自己負担なし)

「何から始めればいいかわからない」という方でも、まず話を聞いてもらうだけで、次の一歩が見えてきます。

介護のことで悩んでいるなら、まず無料相談から

やさしい手の居宅介護支援事業所では、介護に不安を感じているご家族からのご相談をお受けしています。「うちの場合はどうすればいいのか」「今からでも間に合うか」など、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

まずは無料で相談する

※本記事で紹介した事例は、実際の支援をもとに個人情報を完全に匿名化・再構成したものです。特定の個人・施設とは一切関係ありません。