この記事でわかること

「退院後、親が一人で生活できるか心配」「遠くに住んでいてすぐに駆けつけられない」「介護保険って何から始めればいいの?」——そんな不安を抱えながら、毎日モヤモヤしている方はいませんか?

この記事では、肺炎で入院した後に在宅生活を再開した80代女性とその家族の実録事例をもとに、ケアマネジャー(介護支援専門員)がどのように関わり、家族の不安を解消していったかをご紹介します。

事例紹介|高橋 節子さん(80代・近畿地方在住)のケース

項目内容
氏名高橋 節子さん(仮名)
年齢80代前半
居住形態一人暮らし(マンション)
家族構成息子(キーパーソン・近隣在住)、娘(遠方在住)、弟(近隣在住)
介護度要支援2(区分変更後)
主な疾患気管支拡張症、心疾患、糖尿病、肝機能障害、フレイル
利用サービス訪問看護、福祉用具貸与(ベッド・手すりなど)

節子さんは長年住み慣れた別の土地から、体調を崩したことをきっかけに、息子の住む近くのマンションへと転居されました。退院直後という不安定な状況の中、在宅生活をどう支えるかが大きな課題となっていました。

どんな悩みを抱えていたか

「遠くから心配するしかない」娘の焦り

節子さんの娘・佳子さん(仮名・50代)は、関東に住みながらフルタイムで仕事をしていました。母親が肺炎で入院したという知らせを受け、急いで戻ってきたものの、「退院後、一人にしていいのだろうか」という不安が頭から離れません。

「母はしっかりしているし、自分のことは自分でできると言い張るんです。でも遠くにいると、何かあったときにすぐに動けなくて……」

節子さん自身が抱えていた不安

  • 呼吸が苦しくなることがあり、お風呂も一人では心配
  • 下痢が続いており、外出のタイミングが読めない
  • 階段や段差で転びそうになることがある
  • 体重が1年間で6kg以上減少し、ふらつきも出始めていた

それでも節子さんは、「稲荷山に住んでいた自分の家に戻りたい」という強い気持ちを持っておられ、自宅復帰への意欲は非常に高い状態でした。

ケアマネジャーと一緒に解決した方法

ステップ1:まず「相談窓口」に電話一本

佳子さんはまず、地域の総合相談窓口(地域包括支援センター)に電話をしました。そこから居宅介護支援事業所を紹介してもらい、ケアマネジャーとの契約が始まりました。「何をどこに相談すればいいかわからない」という方も、まずは地域包括支援センターに連絡するだけでOKです。

ステップ2:自宅に来てくれるアセスメント(面談)

契約後すぐに、ケアマネジャーが節子さんの自宅を訪問し、生活全体を丁寧に確認しました。日常生活でできること・難しいこと、住まいの環境、医療機関との関係、本人・家族の希望や不安——この「アセスメント(現状把握)」があるからこそ、その人に本当に必要なサービスが見えてくるのです。

ステップ3:多職種が集まる「担当者会議」

ケアプランの内容を決めるにあたり、節子さんの自宅に関係者が集まりました。節子さん本人、娘・佳子さん、ケアマネジャー、訪問看護師、福祉用具担当者が顔を合わせ、「主治医からも、訪問看護は必要と言われているんです。でもどんな看護師さんが来るのかわからなくて不安で……」という佳子さんの声にも、担当者会議の場でていねいに答えていきました。

ステップ4:生活環境を「少しずつ」整える

福祉用具の担当者が浴室や玄関の状況を確認し、転倒予防のための手すりや、立ち上がりを助けるベッドのレンタルを提案。また、薬が飲みにくいという問題は、主治医に相談して粉薬への変更をすすめました。こうした小さな工夫の積み重ねが、在宅生活の継続を支える力になります。

ステップ5:体調が変わるたびに対応を見直す

節子さんの状態は時期によって変化しました。秋の退院直後から、冬の心不全の兆候、春の肺炎再発、初夏の体力低下——その都度、ケアマネジャーは電話や訪問で状態を確認し、看護師・主治医・家族と情報を共有しながら支援内容を見直し続けました。

「一人で全部抱え込まなくていいんだと、ケアマネさんと話すたびに思えました」(娘・佳子さん)

この事例から学べる3つのポイント

ポイント①:「まだ大丈夫」と思っているうちに相談する

節子さんのケースでは、入院中から地域の相談窓口に連絡が入り、退院前にケアマネジャーとの調整が始まっていました。退院後にバタバタしないためにも、「まだ介護は早いかな」と感じているうちから相談することが大切です。

ポイント②:遠方家族でも「チームの一員」になれる

娘の佳子さんは遠方に住んでいましたが、ケアマネジャーとの電話・来所でのやり取りを通じて、母親の状況を定期的に把握できていました。物理的な距離は、情報共有の工夫で乗り越えられます。

ポイント③:本人の「したい」「帰りたい」を尊重する

節子さんは「もとの家に戻りたい」という強い希望を持っていました。ケアマネジャーはその気持ちを否定せず、自宅改修の進捗確認や帰宅後の生活設計も含めて一緒に考え続けました。介護支援とは、その人らしい生き方を支えることです。

まとめ|まず相談することが第一歩

  • 退院後の在宅生活は、ケアマネジャーがいると安心感がまったく違う
  • 遠くに住んでいても、連携次第でしっかり関われる
  • 小さな環境整備・医療連携・体調確認の積み重ねが継続した在宅生活を支える
  • 「まだ早い」ではなく、「今から」相談することが大切

介護のこと、一人で悩まないでください

やさしい手の居宅介護支援事業所では、ケアマネジャーへの無料相談を受け付けています。「まだ介護保険を使っていない」「何から始めればいいかわからない」という段階からでも、丁寧にお話を伺います。

まずは無料で相談する

この記事に登場する事例は、実際の支援経験をもとに、個人情報を完全に匿名化・再構成したものです。特定の個人・施設とは一切関係ありません。