この記事でわかること
「入院中の父が問題行動を起こして、病院から退院を求められた」「退院後の生活をどう整えればいいか、何から手をつければいいかわからない」——そんな切実な悩みを抱えるご家族は、決して少なくありません。
この記事では、認知症と診断された70代の男性・谷口 勇一さん(仮名)のご家族が、複数の病院をたらい回しになりながらも、ケアマネジャーのサポートによって在宅生活を安定させていくまでの実話をもとにしたストーリーをご紹介します。
事例紹介|谷口 勇一さん(仮名)のケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢・性別 | 70代・男性 |
| 居住地 | 近畿地方在住 |
| 要介護度 | 要介護4 |
| 家族構成 | 別居の息子(近隣在住) |
| 主な疾患 | 認知症・内臓疾患(慢性的な感染症) |
| 担当ケアマネジャー | 居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー |
谷口さんはもともと一人暮らしをしていた70代の男性。内臓の感染症を患い、地域の総合病院に入院していましたが、認知症の影響で病棟内でのトラブルが続発。他の患者の部屋に入り込んだり、看護師の休憩室に無断で立ち入ったりと、注意しても翌日には忘れてしまう——そんな状況が繰り返されていました。病院側から「このままでは入院継続が難しい」と告げられたとき、息子さんは頭が真っ白になったといいます。
どんな悩みを抱えていたか
病院から「退院してほしい」と言われた日
最初に父親の入院先から連絡を受けた訪問看護師から話を聞いたとき、息子さんはこう感じたそうです。「父は病気で入院しているのに、なぜ追い出されそうになっているのか。認知症だから仕方ないとはわかっていても、どこか理不尽な気がして……」
病院側は「精神科への転院が必要」と判断。父親は間もなく精神科病棟のある別の病院へ転院することになりました。
転院後も続く不安
転院先の精神科病棟では、薬の調整に2〜3か月かかると説明を受けました。「退院後はどこで生活させればいいのか」「一人暮らしに戻すことができるのか」——息子さんの頭の中には、次々と不安が押し寄せていました。
そんなとき、すでに関わっていた訪問看護師を通じて、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談が持ち込まれました。「退院後はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居が決まっています。でも、今の状態で本当に生活できるのか不安で…。退院支援から一緒に考えてほしいんです」——これが、ケアマネジャーとの関わりのはじまりでした。
ケアマネジャーと一緒に解決した方法
ステップ① 退院前カンファレンスの開催
ケアマネジャーはまず、転院先の病院のソーシャルワーカー(PSW)に連絡を取り、退院前カンファレンスの開催を調整しました。このカンファレンスで決まったこと:退院日程の確定(転院から約1か月後)、在宅医(内科・精神科)の往診による医療継続、訪問看護による自立支援医療での継続介入、サービス付き高齢者向け住宅への入居。
「バラバラだった情報が、カンファレンスを経てひとつにつながっていく感覚がありました」と息子さんは振り返ります。
ステップ② 退院直後のきめ細かいサポート
退院後、谷口さんはサービス付き高齢者向け住宅での新生活をスタートさせました。しかし、退院から数週間後、新たな問題が浮上します。水分摂取量の低下(1日400〜500ml程度)、精神科の薬の増量によるふらつき、無断外出、リハビリへの拒否感——これらの問題に対し、ケアマネジャーは一つひとつ関係者と連携しながら対応策を検討しました。
たとえば水分摂取については、訪問看護師が現地でアセスメントを行い、「甘い飲料から小容量のペットボトルのお茶への切り替え」「食事ごとにコップ1杯飲む習慣づけ」「施設スタッフへの協力依頼」といった具体的な提案がなされました。
「こんなに詳しく、わかりやすく説明してもらえるとは思っていませんでした。自分が気づいていなかったことも教えてもらえて、安心しました」
ステップ③ 生活が落ち着くまで継続的に関わる
退院後も数か月にわたり、ケアマネジャーは月1〜2回の定期訪問とモニタリングを継続。排泄ケアの見直し、テレビ音量による近隣トラブルへの対応、補聴器の試用によるコミュニケーション改善など、生活の質に直結する課題を、施設スタッフや家族と連携しながら着実に解決していきました。入居から半年が経った頃には、帰宅願望は月1回程度に落ち着き、日常生活は安定した状態を保てるようになっていました。
この事例から学べる3つのポイント
ポイント① 退院前からケアマネジャーに関わってもらうことが重要
「退院してから介護の相談をしよう」と思っていると、退院後に慌てて準備することになります。入院中から動き始めることで、退院前カンファレンスの調整や在宅サービスの整備がスムーズになります。
ポイント② 生活の変化に気づいて関係者に伝える"橋渡し役"がいる
認知症の方の生活上の変化は、本人から正確に伝わらないことがほとんどです。ケアマネジャーは、家族・施設・医療・訪問看護などの間を結ぶ「橋渡し役」として機能します。問題が小さいうちに気づいて動くことが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。
ポイント③ 家族が「一人で抱え込まない」ための相談窓口になる
介護は家族だけで抱え込むには、あまりにも多くの課題があります。ケアマネジャーは、専門知識をもとに「今何をすべきか」を一緒に考えてくれる存在です。谷口さんの息子さんのように、まず相談することで、解決の糸口が見えてきます。
あなたの家族も同じ悩みを抱えていませんか?
- 親が入院中で、退院後の生活をどう整えればいいかわからない
- 認知症の症状が出てきて、在宅での生活が心配になってきた
- 施設か在宅かで悩んでいるけれど、誰に相談したらいいかわからない
大切なのは、「まず誰かに話してみること」。専門家に相談することで、自分では気づけなかった選択肢が見えてくることは、谷口さんのご家族の経験からも明らかです。
まとめ|まず相談することが第一歩
- 入院中から動き始め、退院前カンファレンスで多職種と情報共有する
- ケアマネジャーが家族・施設・医療をつなぐ橋渡し役として機能する
- 退院後も継続的なモニタリングで生活を安定させる
- 悩みを抱えたまま時間を過ごさず、まず相談することが大切
介護のこと、まずは気軽にご相談ください
やさしい手の居宅介護支援では、親御さんの介護でお困りのご家族からのご相談を随時受け付けています。「まだ介護保険を使っていないけれど相談できる?」「入院中の親の退院後が心配…」——そんなお声から始まった支援が、たくさんあります。
まずは無料で相談するこの記事は、実際の支援事例をもとに個人情報を完全に匿名化・再構成したものです。特定の個人・施設・医療機関を示すものではありません。





