この記事でわかること
「夜中に電話が何度もかかってくる」「転んでいるところを近所の人に発見された」「もうこっちが限界……」——親の認知症介護では、ご家族が突然そんな状況に直面することが少なくありません。
この記事では、認知症を抱えながら一人暮らしをしていたお母さんと、介護の限界を感じていた家族が、ケアマネジャーのサポートで安心できる生活環境を整えた実例をご紹介します。「うちも同じような状況かもしれない」と感じている方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
事例紹介|田中 幸子さん(88歳)のケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 田中 幸子さん(仮名) |
| 年齢 | 88歳・女性 |
| 要介護度 | 要介護2 |
| 居住形態 | 一人暮らし(4階建てマンション2階) |
| 家族構成 | 長男(神戸市在住)、次男夫婦(別居) |
| 認知症の状況 | 軽度〜中等度(短期記憶障害あり) |
※すべて架空の情報です。
幸子さんは関西のある地方都市で長年、海産物のお店を切り盛りしてきた元気な女性でした。ご主人が亡くなってからは一人暮らしでしたが、近くに住む親戚夫婦がそばで支えてくれていたため、なんとか生活を続けてこられました。しかしここ数年で、認知症の症状は少しずつ、そして確実に進んでいきました。
どんな悩みを抱えていたか
「助けてほしい」が言えない親と、限界を迎えた家族
幸子さんの生活が急速に危うくなったのは、マンションの階段問題がきっかけでした。もともと足腰が弱く、腰が大きく曲がった状態で暮らしていた幸子さん。2階からコンクリート製の外階段を下りるとき、両手に手すりを持てないほど姿勢が不安定で、這うようにして上り下りしていました。
長男の健二さん(仮名・50代)は、神戸から頻繁に姫路へ通いながら、経済的・実務的なサポートを続けてきました。日々の食事や生活の面倒は、近くに住む親戚夫婦が担ってきましたが、ある頃から事態は一変します。
繰り返すSOS、そして「もう限界」の声
- 「お金がない」とタクシー運転手に泣きつく
- 道路でうずくまっているところを警察に保護される
- 夜中に「電気がつかない」「リモコンがない」と電話が止まらない
- 不安になると夜中でも親戚の玄関をガタガタと叩く
毎日のように続くこうした出来事に、5年間支えてきた親戚夫婦はとうとう精神的に限界を迎えました。「もう、勘弁してもらえませんか」——その言葉は、健二さんにとって、決断を迫られる瞬間でもありました。
「どこに相談すればいいのかもわからなかった」
健二さんが特に困ったのは、どこに何を相談すればいいのかが、まったくわからなかったことでした。「施設に入れるべきなのか」「お金はどのくらいかかるのか」「本人が嫌がったらどうすればいいのか」——頭の中には不安と疑問がぐるぐると渦巻くばかりで、なかなか前に進めない日々が続いていました。
ケアマネジャーと一緒に解決した方法
担当ケアマネジャーへの相談が転機に
幸子さんのケースでは、以前から介護保険サービスをつないでくれていたケアマネジャーが、早い段階から家族との情報共有を丁寧に行ったことが大きなポイントでした。健二さんから詳細な状況を聞き取ったうえで、ケアマネジャーは次のように動きました。
①現在の生活の危険性を整理・共有する
転倒リスク、認知症の進行状況、近隣への影響——それらを可視化することで、「今すぐ動く必要がある」という認識を家族・関係者で共有しました。
②主治医への確認と医療情報の把握
幸子さんには、歩行障害・心肺機能の低下・腎機能の低下・脳梗塞の既往・骨粗しょう症など、複数の健康上のリスクがありました。ケアマネジャーは主治医に連絡を取り、これらの情報をケアプランに反映させる準備を進めました。転倒予防・水分管理・服薬管理——それぞれのリスクに対応したプランを、医師と連携しながら作成していきました。
③住み替えと新しいサービス体制の整備
施設への転居後も、幸子さんの生活を継続して支えられるよう、新たなサービス担当者会議を速やかに開催。朝・昼の服薬介助をヘルパーに依頼する体制を整え、デイサービスの利用についても段階的に検討を重ねました。
④家族の不安に丁寧に向き合う
「本人が何でも嫌がる」という健二さんの不安にも、ケアマネジャーは正面から向き合いました。「最初の1週間は慣れるまで大変かもしれません。でも少しずつ、なじんでいただけるはずです」——そんな言葉のやり取りの中で、健二さんは「一人で抱えなくていいんだ」という安心感を得ることができたと言います。
転居後も、ケアマネジャーは定期的に訪問を続けました。月ごとの実績説明、モニタリング、緊急時の対応——ケアチーム全体で幸子さんの生活を支える体制が整っていきました。転倒による救急搬送という緊急事態も発生しましたが、そのときも看護師やケアマネジャーが迅速に動き、大事には至りませんでした。
この事例から学べる3つのポイント
ポイント① 「限界が来てから」ではなく「限界を感じたとき」に動く
幸子さんのケースでは、転倒や徘徊などの危険な状況が複数回起きてから、ようやく施設への転居が決まりました。もう少し早い段階でケアマネジャーに相談していれば、ご家族も支えてくれた親戚も、もっと早く楽になれた可能性があります。「まだ大丈夫」「もう少し様子を見よう」——そう思い続けることが、気づかないうちに限界を引き寄せてしまうことがあります。
ポイント② ケアマネジャーは「施設を紹介する人」だけではない
ケアマネジャーの仕事は、施設を探すことや書類を作ることだけではありません。家族の話を聞き、医師と連携し、関係機関をつなぎ、本人の生活全体を支えるコーディネーターです。「何をどこに相談すればいいかわからない」という状況でも、まずケアマネジャーに話してみることで、次のステップが見えてきます。
ポイント③ 「本人が嫌がる」は介護あるあるのひとつ
認知症の方が「施設は嫌」「ヘルパーは嫌」と言うのは、とても多いパターンです。しかし、それはサービスを利用しない理由にはなりません。慣れてきたら穏やかに受け入れてくれることも多く、ケアマネジャーはそのプロセスも一緒に支えてくれます。本人の意思は大切にしながら、安全に暮らせる環境を整えることが、家族の役割でもあります。
あなたの家族も同じ悩みを抱えていませんか?
「うちの親も、ひとりで暮らしているのが心配」「何度も転んでいるのに、施設に入るのを嫌がっている」「離れて暮らしているから、毎日どうしているか不安で仕方ない」——そんな悩みを、一人で抱えてはいませんか?介護の悩みは、「まだ深刻じゃないから」「自分でなんとかしなきゃ」と思ううちに、気づけば限界に達していることが多いのです。
幸子さんの長男・健二さんも、最初は「なんとか自分たちで対応できる」と思っていました。しかし、親戚夫婦が倒れそうになるまで追い詰められた後に、ようやくケアマネジャーとしっかり向き合うことができました。「もっと早く相談していれば……」という後悔は、誰にでも起こりうること。でも、今日から動けば、今日が一番早いスタートです。
まとめ|まず相談することが第一歩
今回の事例で見えてきたのは、ケアマネジャーへの早めの相談が、家族全員の負担を減らし、本人の安全を守ることにつながるということです。「どこに相談すればいいかわからない」という方こそ、まず居宅介護支援事業所に連絡することをおすすめします。介護保険の申請方法・サービスの選び方・施設の探し方——どんな些細なことでも、ケアマネジャーは一緒に考えてくれます。
親の介護、一人で悩まないでください
やさしい手の居宅介護支援事業所では、「何から始めればいいかわからない」という方のご相談を、いつでもお受けしています。認知症の親のこと、一人暮らしが心配な親のこと、家族の介護疲れのこと——どんな内容でも、まず話してみてください。一緒に、あなたの家族に合った最善の方法を考えます。
まずは無料で相談する※本記事に登場する事例は、実際の事例をもとに個人情報を完全に匿名化・再構成したものです。特定の個人・施設・事業所を示すものではありません。





